II.相続対策(その1)遺言書を作ろう

平成27年1月1日から相続税法が改正され基礎控除が大幅に引下げられたことから相続税を納めるこ とになりそうな人が増えました。 そこで、いざ相続となったときに困らないように予めできる対応を5回にわけて掲載したいと思います。 相続対策その1 【遺言書を作ろう】 遺言とは、自分が生涯をかけて築いてきた大切な財産を、最も有効・有意義に活用してもらうために行う、 遺言者の最後の意思表示です。 遺言書を残すことによって、遺産分割をよりスムーズに行う事ができますし、法定相続人ではない孫や 嫁などにも財産を残すことができます。 また、遺言執行人を指定することによって相続開始後の各種手続きを円滑に行うことができます。 1.遺言書の種類 1)自筆遺言証書 遺言者が、紙に、自ら、遺言の内容の全文を書き、かつ、日付、氏名を書いて(ワープロ不可)、署名 ・押印することにより作成する遺言書です。費用がかからないというメリットがありますが、形式に不 備があると法律的には何の効果もなくなってしまうというデメリットもあります。 また、遺言書を発見した者が,家庭裁判所に持参し、相続人全員に呼出状を発送した上、その遺言書を 検認するための検認手続を経なければなりません。 2)公正証書遺言 公証人の面前で、遺言の内容を口授し、それに基づいて、公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまと め、公正証書遺言として作成し遺言者及び証人2人と共にその証書に署名押印することにより作成され るものです。 法律のプロである公証人が作成するので、方式の不備で遺言が無効になるおそれはありません。また、 家庭裁判所で検認の手続を経る必要もありません。ただし、費用がかかります。 3)秘密証書遺言 遺言者が,遺言の内容を記載した書面(ワープロ等を用いても可)に署名押印をした上で、これを封じ 、遺言書に押印した印章と同じ印章で封印した上、公証人及び証人2人の前にその封書を提出し、自己 の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述し、公証人が、その封紙上に日付及び遺言者の申 述を記載した後、遺言者及び証人2人と共にその封紙に署名押印することにより作成されるものです。 その遺言書が遺言者本人のものであることを明確にした上で遺言の内容を誰にも明らかにせず秘密にす ることができます。 しかし、公証人が内容を確認することはできないので法的に無効となってしまう危険性は残ります。ま た、発見した者が、家庭裁判所に届け出て、検認手続を受けなければなりません。費用もかかります。 2.遺言執行者の指定 遺言執行者とは、遺言書の内容を具体的に実現する人をいいます。遺言書に書かれている内容・趣旨に そって相続人の代理人として相続財産を管理し名義変更などの各種の手続を行います。 3.公正証書作成の料金   (目的財産の価額)   (手数料の額)      100万円まで    5000円      200万円まで    7000円      500万円まで   11000円     1000万円まで   17000円     3000万円まで   23000円     5000万円まで   29000円        1億円まで   43000円 1億円を超える部分については  1億円を超え3億円まで   5000万円毎に 1万3000円 3億円を超え10億円まで   5000万円毎に 1万1000円   10億円を超える部分   5000万円毎に   8000円 がそれぞれ加算されます。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー