II.平成26年10月1日から地方法人税が変わります。

平成26年10月1日以降に開始する事業年度から地方税が変更になります。 【法人住民税の法人税割の引き下げ】 国税である法人税額を課税標準として課税される法人税割について以下のように標準税率が引き下げら れます。 法人県民税  現行 法人税の5.0%〔6.0%〕→  改正後    3.2%〔4.2%〕  マイナス1.8% 法人市民税   現行 法人税の12.3%〔14.7%〕→  改正後     9.7%〔12.1%〕  マイナス2.6%  〔〕内は地方が独自に上乗せできる税率の上限である制限税率 【地方法人税の創設】 ここまで読んで県民税と市民税あわせて4.4%も地方税が下がったと喜んではいけません。 地方税の法人税割の税率が下がった分、国税である地方法人税が創設されました。 そして、その税率は法人税額の4.4%です。 なんのことはない、これまで地方税として県、市に払っていた分を国税として国に払うことになっただ けです。 国は地方法人税として集めたお金を、地方交付税の財源とします。つまり、税源のある地方から集めて、 税源の少ないない地方に配分するということですね。 【地方法人特別税の縮小及び事業税の復元】 同時に地方税である地方法人特別税を減らして、その分地方税である法人事業税の税率を復元します。 地方法人特別税はもともとは地域間の税源偏在を是正するために法人事業税を分離して創設されたもの です。事業税という受益者負担であるはずの税金を税収の多い地域から少ない地域へという応能負担の 税金に変えてしまったものでした。 今回の地方法人特別税の規模縮小および事業税の規模拡大は応益負担である事業税の本来の機能を少し だけ元に戻すことになります。 それにしても国税なのに「地方法人税」、「地方法人特別税」という名称にしたり、地方法人税は法人 税の同一の様式の中で計算・申告・納付するのに、地方法人特別税は事業税と同一の様式で計算・申告 ・納付するなど本当にわかりにくくなっていますね。 整理すると次のようになります。 【課税元】  国‥‥法人税、復興特別法人税 地方法人税 地方法人特別税  地方‥法人県民税 法人市民税 事業税 【申告・納付先】  国‥‥法人税、復興特別法人税、地方法人税  地方‥法人県民税 法人市民税 事業税 地方法人特別税 【課税標準】  所得‥‥法人税 事業税 地方法人特別税  法人税‥復興特別法人税 地方法人税 法人県民税 法人市民税 (復興特別法人税は26年4月1日以降に開始する事業年度については廃止されています) *分かりやすくするために、神奈川県の中小法人を対象に記載しています。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー